クレームリスク「ゼロ」への取り組み

栄光に対する多くのご意見を拝見することになり
この機会に「今の栄光」を、もう少し知っていただこうと思います。

発展途上の10年前までは「安かろう、悪かろう」と言われても仕方のない、不確実な状況でした。ご迷惑をお掛けし不満に思われた方が、少なからずいらっしゃったと思います。改めてお詫びします。

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今の栄光は、2009年に本文用のオフセット印刷を小型機から大型印刷機への切り替えを完了。印刷品質は飛躍的に改善しました。そして社長が代わり、特にこの5年間はユーザーインターフェースの改善を徹底的に行いました。システムと接客の心構えの両方です。いずれもまだ不十分ですが、栄光のホームページをご覧いただくと、その精神を少しはご理解いただけると思います。細かいシステム改修と、情報発信をきめ細かく行っています。5年前の栄光と、今の栄光は「心身」ともに違います。

1%未満のクレームリスクを限りなくゼロへ

改善をいくら重ねても、毎月数千件の同人誌をお受けする中で現実的にはミス・クレームは発生してしまいます。ごめんなさい。

【例えば、ミスの発生の可能性が1%あるとします】

まず受付・制作では注文内容とデータ内容の不整合な部分、そしてデータチェックで明らかになった不都合な部分をお客様と連絡をとり解消します。全体の30%で、この問い合わせが発生しています。その80%が部分的再入稿となります。

つぎに印刷・製本の製造工程に入ります。デジタルからカタチあるモノになるので、この段階で新たに発見されるミスがあります。各工程にはそれぞれのチェック項目があり、出荷前に発見された不具合は刷り直しや作り直しをしています。お客様に原因がなければ、知られることもなく作り直された商品が送り出されます。ミスの半分くらいは世に出る前に未然に防いでいます。

【残りの0.5%のミス・リスクを、お客様と印刷会社が協力してゼロに近づける】

そして残りの半分は、勘違いや思い込みで気づかずミスを内存した商品が、すり抜けて出荷されてしまいます。これが世に出ると“クレーム”として帰ってきます。当社側の過失の有無に関わらず、気づくことができなかった無念さは常にあります。

「チェックしているなら、なぜ気づかなかった!」と一方的に責め立てられるお客様が時々いらっしゃいます。だから「データはお客様責任」として突き放したような表現にしています。お客様に厳しいお願いをご提示するのは、お客様側でも責任をもってできるだけ不備のないデータをご入稿いただきたいからです。

この残り半分のミス・リスクを減らすには、お客様のご協力とご理解が不可欠です。

しかし満点の完全原稿を、すべてのお客様が作ることはできません。同じく栄光も、過不足ない万全のチェックと判断はできません。いくら安い料金で受けているからといって、ほんとうにノーチェックで仕事を進めるという無謀なこともできません。すべての不整合に気づくことは、できないことをご理解ください。

けっしてお客様にすべての責任を押し付けるつもりはありません。

「注文フォーム」「預かり在庫出庫フォーム」をシステム化したので転記ミスなどの間違いが激減し、受付処理も劇的にスピードアップしました。トラブルが起きた時に、ひとつずつその問題を潰しています。HP上で誤解を招く表記が指摘されれば、速やかに訂正します。

先日は「顧客満足のためのクレーム応対研修」という有料研修にも参加し、クレームが起きる要因・クレーム応対がうまくいかない理由・応対の原則と手順や禁句などについて学び、マニュアルの精度を高めています。しかし電話対応は生身の人間が行うものなので、声のトーンひとつ・微妙なニュアンスでもクレームになってしまいます。残された大きな課題です。

お客様とは敵対する立場ではなく、フィフティ・フィフティの対等な立場。サブカルチャーを愛する、同じ志を持つ同士だと思っています。そこが単なる印刷会社ではない、同人誌印刷会社たる存在理由なのです。同人活動のお役に立てるよう、気を配り努力しています。

発生してしまった場合の対応は冷静に

イベント当日に発覚の場合、日曜は休業日です。申し訳ありませんが、月曜に連絡をお願いします。

以前に1年ほど日曜日営業を行っていた時期があります。トラブル発生時に「すぐに作り直して、持って来い!」と電話口で怒りを爆発される事があります。しかし栄光に100%非があったとしても、当日は物理的にどうすることもできません。ただお詫びするだけです。騒ぎが大きくなるだけで収拾がつかなくなるので、日曜対応は中止しました。

せっかくのイベント参加が台無しになり、怒り心頭となられることは当然です。しかし冷静になっていただき、ソーシャルメディアなどでの感情に任せたご発信はお控えいただくのが得策です。お客様の溜飲が下がるどころか、その真偽にかかわらず思いもよらぬ強烈な反響を呼び起こしかねません。

月曜日には原因を確認して、善処させていただきます。

ミス・クレームに勝者はいません。

物理的な要因と、人が関わるための人為的要因が絡み合い事故は発生します。一方的にお客様だけ、印刷会社だけが悪いケースは稀です。誘因があり、原因があります。

ミスやクレームが発生してしまうと「どちらに非があったとしても」せっかく楽しみにされていたイベントが台無しになります。いくら印刷会社に非がなかったとしても、気持ちのいいものではなく誰も得をしません。お客様とともに悲劇はなくしたいです。ご協力ください。

クレームについては事実関係を確認させていただき、刷り直し(作り直し)や値引き対応でご相談させていただいております。もちろん、ミスを起こさないのが一番なので手を抜かず改善に取り組みます。

岡田 一

この記事を書いた人

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栄光の二代目社長。大学漫研時代に同人誌発行。マンガは下手なのに、商業誌に四コマ連載経験アリ。「なんとかなる!」がモットーの“静かなるファイター”