2020年会場問題を正しく理解し、拡散する。

いろんな形で伝わり始めたので、より正確な情報をお伝えします。

10/22にビッグサイト運営会社よりオリンピック開催に伴う「現時点での利用制約」について会場利用者に対して説明がありました。原文も入手していますが、10/24付の東京新聞がこの問題の影響も含め最も正確に伝えていますので、引用させていただきます。

20151024東京新聞
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2020年会場問題は、同人誌業界だけの小さな問題ではなく、あらゆる産業の企業活動に2年間に渡り、影響を与える極めて重大な問題なのです。ですから皆さんには、問題を正しく理解していただき意見を発信していただきたいと願います。

「会場問題=同人誌問題」として発信すると「矮小化した問題」としてねじ曲げられやすいと憂慮します。

2013年9月に開催が決定した瞬間から、この事態は想定されていたものです。印刷会社1社の力では何もできないので、オリンピックが東京に決まりそうだと判断した同年5月には日本展示会協会に栄光も入会して、情報収集を始めました。

日展協から得た、同人誌業界以外の状況も合わせ以下にまとめました。

◆展示会場をスポーツイベントのオリンピックで使用するのが、間違いの始まり

スポーツイベントには関係のないビッグサイトを、メディアセンターとして使用することがまず間違いです。会場ができて20年間。展示会場として脈々と利用され続けた同会場は、今や年間300以上のイベントが開催され、ほぼフル稼動状態です。継続的な利用者に対して「オリンピックが決定したので20カ月間ほぼ使えません」とうい告知は、商道徳上ではありえない話。

広いスペースを持つ展示会場をメディアセンターとして転用するのは最も安直な方法なので、過去のオリンピックでも検討されたようです。しかし占有すれば、経済活動を妨げる大問題になるのは明白になり北京、ロンドン、そして来年行われるリオでもメディアセンターを新たに造り問題を最小限の影響にとどめています

◆しかも代替会場が準備されていない!

しかも残念なことに、大きなイベントができる代替会場が首都圏にはありません。代替会場候補のNo.1であるはずの幕張メッセでは3競技が開催されることになってしまいました。日本の主要会場の広さは、ビッグサイト8.0万㎡、続いて幕張7.2万㎡、インテックス大阪7.0万㎡、ポートメッセ名古屋3.4万㎡、パシフィコ横浜2.0万㎡。

特に気候のいい春や秋は、主要会場はすでに稼働率が高く受け入れられるキャパは少ない。また場所がどこでも良いわけではなく、最低でも交通インフラと宿泊施設が整って受け入れられるキャパがなくてはなりません。つまり大規模会場の代替候補は国内にはありません

300ものイベントが会場を奪い合い、大は仕方なく中を求め、中は押し出されるように小を求めるしかなくなり、小さな会場にも影響があると思います。2019年の年初からたいへんな事態になります。会場の使用を制約するのであれば、その主は同等の代替会場を斡旋するのがルールであろうし、その良識に期待するしかありません。

◆オリンピック本番開催の数週間だけの問題ではなく、2年間に及ぶ問題

オリンピックを成功裡に成し遂げるために、本番の1年前から各競技団体によるプレ大会が開催されます。予行演習みたいな役割です。だから会場が使用できない期間が改修工事もあるので20カ月にも及びます。

日展協はオリンピック開催に反対していません。展示会・イベントへの影響を最小限に抑えて欲しいだけです。

◆展示会は商談の場であり経済波及効果は大きく、その損失は計り知れない

展示会が単なる見世物市ぐらいにしか理解できてない古い人が結構います。「イベントがしばらくのあいだ中止になっても、問題ないだろ」という勘違いです。

大イベントが開催できる首都圏唯一最大のビッグサイトでは、あらゆる産業の展示会やイベントが年間途切れることなく開催されています。国際的な展示会も開催されています。10月に開催された「国際メガネ展」では20カ国からの出展があり、海外の有力バイヤーも駆けつけ、全体で60億円以上の商談がまとまったと報じられています。たったひとつの展示会です。

こんな展示会が開催できなくなるのです。

◆2年間、首都圏で大きなビジネスショーが開催できないことを想像してください

日本は「技術立国」であり、国際間競争の中で戦っています。大企業も中小企業も。開催だけが目的なら、縮小すればできるでしょう。アジアの中でNo.1は東京だったのに、展示会は上海などに取って代わられています。

ビッグサイトが完成したのは1996年。それから20年間、それ以上の展示会場は作られることなく、いまや日本最大の同展示会場は世界72位(アジアの中でも18位)と貧素なのが日本の展示会事情なのです。さらに空白の2年間ができるわけです。

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引用元:日本展示会協会「展示会場面積 世界ランキング/各国の展示会場 総面積」より

この背景を理解ください。2年間競争の土俵にさえ上がれないとどうなるでしょう!?

◆展示会に直接関わる企業のダメージは、想像を絶する。廃業もあり得る

会場は商用の展示会だけでなく、各種エンターテイメント系イベント、就職に関する合同説明会も開催されています。展示会の主催者だけでも多岐にわたります。最大会場が30%程度しか使用できないとなれば、展示会を主な事業とする主催者、装飾業者、各種イベントに関わる支援企業は企業の存続問題です

◆展示会を利用する出展企業は新商品の発表および商談の場を奪われる

展示会は商材を並べてニッコリ笑うだけの場所ではありません。技術、システム、完成商品を披露し、そのまま商談するのが展示会です。ひとつの展示会には数百社が出展しますから影響を受ける出展企業は数万社にのぼります

新規営業や新商品の発売は、個々に持ち歩く「訪問営業」から新商品を披露し実演する事もできる展示会での営業手法に変わっています。システムや特殊技術、大型機械であればなおさらです。この商談の場が2年間縮小されるわけです。機会損失で失われる売上ロスは恐ろしくて私には計算できませんし、この責任をオリンピック主催者は理解し経済的補填を考慮してくれるのでしょうか?

◆2年間の空白は致命的。本番期間前後の数ヶ月にとどめるべし!

分かりやすく一般ビジネスを例に説明しましたが、同人誌でも同様の各種問題が発生します。我々同人誌印刷会社も例外なくダメージを受けます。2年間存続できるよう努力はしますが、2021年以降も皆さまの活動のお手伝いを継続できるかはなんとも言えません。そしてもちろん作家さん自身も、生活の糧にされていればこの渦に巻き込まれます

マンガ、アニメの人材を育くみ供給源となっている同人誌活動が2年間縮小することになれば、2年間の断層ができ、経済的な影響だけではなくコンテンツ文化の継承という面からもダメージとなることが憂慮されます。

2年間は長過ぎます。企業も堪えられません!

【これから、どうする】

ビッグサイト運営会社は、長年取引があるので展示会主催者側の事情は理解しています。親会社である都との板挟みです。ですから今回の説明も「現時点での利用規約」としています。このまま、利用者から反対意見がないとそのまま進みますよという公告なのです

新国立競技場問題と同様に、覆すことのできる問題です。しかし時間は限られます。

日本展示会協会で各団体の意見を取りまとめ、統一見解(声明)を出していただきます。

「オリンピックに必要なメディアセンターは別途準備し、ビッグサイトは使用しない」

趣旨に賛同いただける企業、団体には賛同を表明していただき、個人でも参加できる署名活動の受け皿の準備をお願いしています

準備ができ次第、ご案内しますので賛同いただける方はお力添えをお願いいたします。

最後にこの問題が矮小化されないことを望みます。予想される矮小化されたコメントの典型例が「オタクが困るのは問題ない、ガマンさせればイイ」です。会場問題は、同人誌だけの問題ではありません。

2020年会場問題・署名特設サイト

2020年会場問題署名特設サイト

岡田 一

この記事を書いた人

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栄光の二代目社長。大学漫研時代に同人誌発行。マンガは下手なのに、商業誌に四コマ連載経験アリ。「なんとかなる!」がモットーの“静かなるファイター”